2025.05.28 半導体商社20社、収益面で明暗 26年3月期「関税影響は限定的」
半導体商社の25年3月期業績合計
主要な半導体商社20社の2025年3月期連結決算が出そろった。産業機器向け半導体を中心に顧客の在庫調整が長期化する中、半数が増収を確保。全体の売上高は前期比0.7%増とほぼ横ばいだったが、最終利益は8社が増益と収益面では明暗が分かれた。
最大手のマクニカホールディングス(HD)は、半導体事業の売上高が前期比3.0%減にとどまったが、営業利益は同53.5%減と大幅な減益となった。産機向けで中国需要が減少した上、在庫調整が重荷となった。一方、サイバーセキュリティー向けソフトウェアの取り扱いが急伸し、商社のビジネスモデルが物販中心から多角化する傾向が明確になった。
レスターは、デバイスビジネスユニットの売上高が7.0%増と伸びた。連結子会社が業績に寄与した半面、円高や産機回復の遅れでセグメント利益は10.2%減った。EMS(電子機器製造受託)事業は2桁の増収を記録した。
加賀電子も電子部品事業の売上高は横ばいだったが、EMSの伸長が業績を下支えした。トーメンデバイスは、AI(人工知能)関連の需要増により主力のメモリーで売上高が20.1%増と大きく伸びたが、26年3月期は減収減益を予想している。
米関税に懸念
26年3月期の業績予想では、20社合計の売上高が前期比1.3%増、営業、経常利益はほぼ横ばい、最終利益は7.1%減の見込みだ。マクニカHDの原一将社長は、米関税政策について直接的な影響は「あまりない」との見方を示す。半導体事業は前半まで調整局面が続くとするが、後半からの回復を見込む。
レスターも関税の直接影響は限定的とするが、グローバル経済の減速に懸念を示す。トーメンデバイスは貿易戦争の拡大で「先行きを見通すことが難しい」とした。
一方、半導体材料や製造装置、部品メーカーなどがインド進出を加速する中、半導体商社も24年後半から25年前半にかけて、現地拠点の法人化や新規現地法人の設立を相次いでいる。業績への寄与は27年3月期以降となる見通しで、メーカーに呼応する形で新たな商機をつかもうとする動きが活発になっている。